僕が通っていた大学は、総合大学と違って主に専門分野を学ぶところでした。
そのせいか、他に比べてやたら勉強することがたくさんありました。
とにかく忙しかったんですよ。
大学に受かるまでだって受験勉強に追われていたんですよ。
だから最初は、入学してしまえば少しくらい時間ができるだろうってたかをくくっていたんです。
それが甘かったですね。
入学したって、いっこうに落ち着くことはなく、予定していた車の教習所にさえまったく通えていませんでした。
高校時代の友人は続々と運転免許を取得していくのに、このままじゃ永遠に免許なんか取れないって思いましてね。
それで、思い立って短期で免許が取れる合宿免許に参加しようと思ったんです。
研究の合間を縫って参加すれば、ちょうど二~三週間で取れる合宿免許は僕にぴったりのカリキュラムでした。
それにね、研究室と自宅の往復で、狭い室内にこもることが多い生活だったので、たまには自然が広がる田舎町でうまい空気でも吸いながら気分転換でもしたいなとも思っていたところでした。
不謹慎ですけど、教習所へ通うのに、なんだか旅に行くようなわくわくした気持ちになったものです。
案の定、そこはゆったりとした田舎町で、僕をすごく新鮮な気持ちにさせました。
もともと勉強するのは嫌いなほうじゃなかったんで、教習を受けて、それをぎっちり一点集中で覚えていくのは苦じゃありませんでしたよ。
それよりも、ちょっとした合間の時間が自由に使えるのがなんともうれしかったです。
大きな公園のようなところを散歩したり、小川が流れているのを見ているだけで生き返っていくようでした。
夕日が沈むのをぼうっと眺めていたりね。
あと、いっしょに学んでいる仲間がいろんな都道府県から集まってきているので、話をしているだけで楽しかったですね。
ちょっとした修学旅行気分でしたよね。
本当にあっという間の短い期間でしたけれど、教習所に通ったというよりは、ちょっとした休暇を遠くへ旅したような気分でした。
短期で免許が取れたので、その後の生活にも支障がありませんでしたし、合宿免許は、僕のような忙しい身にはありがたいシステムだったなと思っています。